2013年6月2日日曜日

ちょっと心が暖まる話その2。「夢いっぱいくれたから夢でいっぱいかえさなきゃだもん!」

先日、ジオラマやまだまち48に関する記事をまとめた際、コメント欄でさや姉がジオラマ内に作る建物として、楽器屋をリクエストした時のエピソードを教えていただきました。

時系列が前後してしまい申し訳ないのですが、このエピソードもぜひさや姉ファンに知ってほしいと思い、拙文ではありますがまとめさせていただきました。



kiba maburitto
被災地訪問を続けてくれているAKBGの皆さんに対して、
地元の子供たちの預かったお礼や伝言をしたレポを書いていきたいと思う。

※長い記事なので時間のある人のみ読むことを推奨するぞ。

子供たちの伝言は様々で、お礼から質問までいろいろとあるんだ。
もちろん、全ての子供たちのリクエストは聞けない。そして、大人の都合で
子供たちを選ばない。子供達が子供達同士で次は誰のリクエストを送るか
みんなで何度も話し合って決めているんだ。

リクエストを託してくれる子たちはそれぞれ震災で深い事情を抱えている。
悩んで、たった数秒の中で言葉を選んでオレやスタッフに託してくれる。

その子供達の気持ちを受け取ったAKBGメンバーの方々の素晴らしい回答を
みんなにも是非とも知っておいて欲しいので、記事にして残そうと思う。

伝言やメッセージを託すことになったいきさつや詳細等は
前の方の記事内にある【北原里英さん編】を読んでくれれば有難く思う

今回は【NMB48山本彩さん編】だ。伝言を託してくれたのは小学生の女子達。
山本彩さんが山田町を訪問したのは2011年5月22日になる。
訪問から実に1年8ヶ月が経った。多くの人にとっては忘れるには充分な時間。

山田町のこども達は震災の訪問で山本彩さんこと「さや姉」を知った。
それまではNMB48というとラウンド1のCMでしか知らなかった。
訪問で訪れてくれたこと、感謝状を届けた時の事、それ以後も
時間が経っても伝言をするたびにさや姉は喜んで答えてくれていた。
こども達はNMBを好きになり、ラウンド1のCMが流れる度に喜ぶようになった。

そして山田町で津波で失った町のジオラマを作ることになった。
こども達は「お世話になった人たちのの名前をジオラマの建物に名付けよう!」
と提案し、震災で各地に訪問してくれたAKB48Gのメンバーの名前を
お店につけてずっと未来に残そう、忘れないようにしようと提案してくれた。

こども達にとって精一杯の恩返し。町の人やジオラマ製作者さんは
笑顔で「そうしよう!」とこども達の提案を快く引き受けてくれた。

そしてさや姉ファンの女の子達に伝言の順番が回ってきたので
伝言のメッセージを聞くことになったのだ。

伝言をする女の子たちは笑顔だった。

「キバさん!さや姉の伝言決まったよ」と元気な声で女の子は言った。

オレは「ほうほう。そうかい、生写真に気をつければオッケーだな!」
と言ったが、早々に無視をされてしまった。

女の子は伝言の内容を伝えてきた、伝言は

「私たちに出来ることは応援しかないけど、勇気と笑顔の恩返しに
これから出来るジオラマにさや姉のお店を作りたいので、教えてください」

というものだった。握手券は2枚あったのでオレは快く引き受けることになった。
そして女の子達と少し話をした。

「さや姉はもう訪問にこないのかな?喜んでくれるかなぁ?」

「もしさや姉が忘れてしまってたら、応援してます!って言ってねキバさん」

オレはうんうんと聞いていた。悲壮な表情は無かった。こども達は
喜んでくれると思っているようだった。オレは言った

「さや姉もきっと喜ぶんじゃないかな、あとは伝言をうまくオレがするだけだな」

女の子はオレに笑顔で言った

「キバさん、今までって、わたしたちお願いしてばっかりだから
さや姉の為に恩返ししたかったんだよ、恩返しできるよね?」

オレは言った

「ああ、もちろんだ。それがお前さん達の気持ちならそれでいいんだと思うぞ」

女の子達の笑顔に見送られ、オレはいつもように握手会場に向かったんだ。


【NMB48 山本彩さん編】

※読みやすいように会話は「さや姉」と表記することをお許し頂きたい。

握手会場に着いて、オレは早速に列に並んだ。さや姉の列は満員だった。
前回の伝言から時間もだいぶ経っていた事が少し不安があったが、
それならば応援してます!とこども達の想いを伝えれば大丈夫だと
オレは自分自身に言い聞かせていた。

様子を見ているといつもよりも剥しがゆるいように思えた。
なんだか少しゆっくりとした握手会に思えてリラックスができた。
そしてそうしているうちにオレの握手の順番になった。

オレ「お久しぶりです」

さや姉「どうも!こんにちは!」

さや姉は元気いっぱいだった。そして丁寧に握手をしてくれた。
そしてさや姉が顔を覗き込んで大声を上げてくれた

さや姉「えー!!来てくれたんですか!わー!元気にしてましたか?
    おひさしぶりです!嬉しいです、ありがとうございます!」

さや姉は添えた両手の握手を右手と左手で持ち直してダブル握手で
力強く握って、机のギリギリまで身を乗り出して改めて笑顔で迎えてくれた。
あまりに顔が近すぎて、オレは一瞬役目を忘れそうになったが持ち直した。

オレ「さやかさんもお元気そうで何よりです。実はこども達からお願いがあって・・」

さや姉「はい!はい!私にできることならなんでも言ってください!」

オレ「今度、津波で流された町を模型ジオラマで作るんです。それでこども達が
   さや姉のお店を作りたいから、どんなのが良いか教えて下さい!と」

さや姉「わたしのお店・・・ですか・・?こども達のお店を考えるんじゃなく、
    わたしの為にわたしのお店を作ってくれるってことですか・・?」

さや姉は一瞬ポカンとした。

オレ「はい。ジオラマはずっと未来に残ります。こども達や自分達の精一杯の
   恩返しです。自分のお好きなお店を教えて下さい。必ずに伝えます」

さや姉の両手にグッと力が入って、眉毛がハの字になって、
その目にはいっぱいの涙が溜まった。
オレは何かを言っていけないと思い黙って笑顔で頷いた。

さや姉「わたしの好きなお店・・私のお店・・楽器屋とかは大丈夫ですか?」

オレ「山本楽器とか言う感じでオッケーでしょうか?」

さや姉「はい!はい!嬉しいです!でも大丈夫ですか?」

オレ「大丈夫、こども達はきっとやります。出来上がったら写真を持ってきます」

さや姉「わたしの為に・・嬉しいです!絶対に待ってます!約束します!」

オレ「みんなが応援しています。頑張ってください」

さや姉は机のギリギリまで出口に歩いて両手で手を振り
「また会えますよね!絶対にまってますから、皆さんによろしくです!」
と笑顔で見送ってくれた。

こうして、山本彩さんへの伝言の役割は終わった。

今まではこども達が望んだことに全力で山本彩さんは答えてくれていた。
一瞬ポカンとしたのはそのせいだった。こども達の為にいつも通りに
彩さんは全力で答えてあげようって思っていたんだと思う。

それが今回はこども達が彩さんの夢のお店を作るということだったから、
いつもと逆になったので彩さんは驚いたんだと思う。
こども達の恩返しの気持ちは伝わったんだ、そして
山本彩さんはそれを涙をためて受け取ってくれた。それが嬉しかった。

オレは改めて、山本彩さんに心から感謝した。
そして、見守ってくれた剥がしの方もありがたかった。

そして、女の子達に伝えるべく、すぐにレポートをまとめてメールで送った。

女の子達からメールが返ってきた

「キバさん!ありがとう!さや姉が喜んでよかったよー!
もう応援するようにしたいって思ったから
絶対にさや姉のお店をつくるぞー(((o(゚▽゚)o))
そうすればいつでも思い出せるもんね♪」

「伝言ありがとう♪キバさんありがとう☆彡
さや姉にできることは恩返しだよね(`・ω・´)b
よいお店が作れるようにがんばるぞー( ´艸`)」

「さや姉が考えてくれて良かった(´;ω;`)
夢いっぱいくれたから夢でいっぱいかえさなきゃだもん!
CD早く買って応援できるようにしなきゃ(≧∀≦)」

女の子たちは目一杯に喜んだ。

そうだとも。誰だって誰かのために生きたいんだ。
誰かのために力なりたんだ、それが好きな人に出来る事なんだ。

女の子たちは山本彩さんの力になりたかったんだ。
精一杯の心の支援をしてくれた事に心の応援で恩返しをしたかったんだ。
オレはいつもこども達やメンバーのみなさんから学ぶことが多い、
何もない、何もできない、だからあきらめて何もしない、そうじゃないんだ
心はいつもそこにある。誰かのために想うことは誰にでも出来る事なんだ。

この場で改めて山本彩さんとファンの方々にお礼を述べさせて頂きたい

「彩さん、いつもこども達の心に真剣に向き合ってくれてありがとう。
貴方の変わらない誠実な優しさからこども達は夢をつくる事を思い出しました
夢の楽器屋さんはきっとこども達が大人になっても守り伝え続けられるんだ」
元の記事はこちらです。コメント、+1してみてください。

これを見て思ったこと、感じたこと人それぞれあると思います。

私が一番感じたのは、誰かのために何かしようという気持ちは大きな原動力になるということです。
女の子達の返信メール、すごくないですか?「夢いっぱいくれたから夢でいっぱいかえさなきゃだもん!」
こども達の真っ直ぐな言葉は、時々目で追えないほどの速度で大人の胸を射抜きます。

好きな人のためになりたいから、頑張れる。
好きな人の笑顔を見たら、自分も笑顔になれる。

とても人間らしくて良い生き方だなと思いました。



ジオラマの写真、他のメンバーのエピソードは、kiba maburitto さんのGoogle+ページで見られます
メンバーの数だけドラマがあります。読み始めると止まらなくなりますよ
NPOいわて・郷プロジェクトのHPはこちら (イベントページにジオラマに関する情報が載っています)

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